経済産業省が公表したデータによると、キャッシュレスによる決済比率は下記のように年々増え続けています。
クレジット | デビット | 電子マネー | QRコード | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
2014年 | 15.4% | 0.15% | 1.3% | ー | 16.9% |
2015年 | 16.5% | 0.14% | 1.5% | ー | 18.2% |
2016年 | 18.0% | 0.30% | 1.7% | ー | 20.0% |
2017年 | 19.2% | 0.37% | 1.7% | ー | 21.3% |
2018年 | 21.9% | 0.44% | 1.8% | 0.05% | 24.1% |
2019年 | 24.0% | 0.56% | 1.9% | 0.31% | 26.8% |
2020年 | 25.8% | 0.75% | 2.1% | 1.1% | 29.7% |
2021年 | 27.7% | 0.92% | 2.0% | 1.8% | 32.5% |
※経済産業省が公表したキャッシュレスによる決済比率。 |
そして当然のことながら、クレジットカード等のキャッシュレス決済ができなければ、その分だけお客様を見逃す事になってしまうんです。
ですが、いざ導入するとなると、どんな決済サービス会社があって、どこがどう違うのか?分からず、面倒に感じる方も多いと思います。
そんな方の為に、この記事では「Square・楽天ペイ・STORES決済・Airペイ・Times Pay・おてがるPay」といった、キャッシュレス決済導入を提供する企業6社の特徴とメリット・デメリットを徹底的にまとめます。
ターミナル端末と比較したメリットは?
まず店舗にクレジットカードや電子マネー・QRコード決済を導入するなら選択肢は2つあります。1つ目がスマートフォン等とセットで利用するモバイル決済端末。そして、もう一つが単体で使用できるターミナル端末です。
モバイル決済端末 | ターミナル端末 | |
---|---|---|
固定インターネット回線 | 不要 | 必要 |
プリンタ出力機能 | 無 | 有 |
スマートフォン・タブレット | 必要 | 不要 |
決済端末の操作性 | △ | ○ |
そして、一番気になるのが初期費用と月額料金・手数料ですよね。ですが、これらが発生するか否か、そして高いか否かは決済サービスを提供する会社により異なります。
よって、主な分岐点となるのは下記2つです。
まず、ターミナル端末はインターネットの固定回線(光回線)が必須となるので、もし導入されていなければ、この記事でまとめているモバイル決済端末一択となります。
続いて、レシート出力機能です。モバイル決済端末だとプリンタを購入する必要があるので、紙ベースでの運用をするならターミナル端末を選択するようにしましょう。
Square・楽天ペイ・STORES決済・Airペイ・Times Pay・おてがるPayの比較
キャンペーン比較
現在、初期費用をかけずに利用開始できるのは下記の事業者です。
月額費用 | 初期費用 | リーダー端末代金 (プリンタ代金) | プリンタ機能 | スマホ等 | |
---|---|---|---|---|---|
Airペイ | 0円 | 0円 | 20,167円 | × | 必要 |
楽天ペイ | 0円 | 0円 | 19,800円 | × | 必要 |
STORES決済 | 0円 | 0円 | 19,800円 | × | 必要 |
おてがるPay | 0円 | 38,280円 | 23,100円 (15,180円) | ○ | 必要 |
Square | 0円 | 7,980円 | 7,980円 | × | 必要 |
Times Pay | 0円 | 38,000円 | ※38,000円 (含む) | ○ | 不要 |
※金額は税込みです。 ※Square、おてがるPay、Times Payを除きリーダー端末代金は不要です。 ※Times Payは、リーダー端末・タブレット・プリンタ代金を含んだ金額です。 |
初期費用が発生する4社も、以前は初期費用が無料だったのですが、現在はキャンペーンを実施しておらず有料です。現在の状況を鑑みると、キャンペーン自体を続ける事業者が減っていく可能性もあるため、早めの申し込みを検討した方がいいと思います。
審査
6社とも2種類の審査を設けています。審査は以下のように国際ブランドごとに行われます。
1次審査 | 2次審査 | |
---|---|---|
Square | ・Visa ・MasterCard ・American Expres ⇒最短当日 | ・JCB ・Diners Club ・Discover ・電子マネー ⇒最短3日 |
STORES決済 | ・Visa ・MasterCard ⇒最短2~3営業日 | ・WeChatpay ⇒最短3営業日 ・American Express ・JCB ・Diners Club ・Discover Card ⇒最短5営業日 ・交通系電子マネー ⇒最短10営業日 |
楽天ペイ | ・Visa ・MasterCard ・楽天Edy ・交通系電子マネー ・nanaco ⇒最短3~4営業日 | ・JCB ・American Express ・Diners Club ・Discover ・QUICPay ・iD ・au PAY ⇒最短2週間程度 |
Airペイ | ・VISA ・MasterCard ⇒最短3営業日 | ・JCB ・American Express ・Diners Club ・Discover ・交通系電子マネー ・QUICPay ・iD ・d払い ・PayPay ・LINE Pay ・WeChat Pay ⇒最短4営業日 |
Times Pay おてがるPay | ・VISA ・MasterCard (・Union Pay) ⇒3週間~1ヵ月程 | ・JCB ・American Express ・Diners Club ・Discover ・電子マネー ⇒3週間~1ヵ月程 |
※Times PayとおてがるPayを除き、2次審査の起算日は1次審査の終了日です。 ※Union Payは、おてがるPayのみ対応しています。 |
尚、6社の中でSTORES決済だけは注意が必要です。理由は以下に該当する業種は、二次審査を始めから受けられないから。
つまりはVISA、MasterCard(セゾンカード)に国際ブランドが限られてしまう為、申し込み前に対象可否を確認するようにしましょう。
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クレジットカードの手数料
下記表は各社の国際ブランド対応状況と手数料です。
Square | STORES決済/楽天ペイ | Airペイ/Times Pay | おてがるPay | |
---|---|---|---|---|
VISA | 3.25% | 3.24% |
||
Master Card | 3.25% | 3.24% |
||
American Express | 3.25% | 3.24% | 3.74% |
|
JCB | 3.25% | 3.24% |
||
Diners Club | 3.25% | 3.24% |
||
Discover Card | 3.25% | 3.24% |
||
UnionPay | ー | ー | ※3.24% | ※3.25% |
※Square・STORES決済・楽天ペイ・Times PayはUnionPayに非対応です。 |
2023年4月より、楽天ペイやAirペイ・STORES決済・Times PAYは、クレジットカードの決済手数料を大幅に引き下げました。
おてがるPayは、スマートフォン決済端末よりもターミナル決済端末に力を入れていますし、JCB・三菱UFJニコス・UCカードが共同出資しているサービスなので、対応が遅くなるのは分からなくもないですが、Squareはどうなのでしょう?
2023年4月28日より、JCB(3.95%→3.25%)やQUICPay+(3.75%→3.25%)の手数料を引き下げるようですが、それでも競合他社と比べて0.01%手数料が高くなってしまいます。
たかが0.01%の違いではありますが、手数料はスマホ決済選びにおいて重大な要素になります。回数が増えれば増えるほど、費用はかさみますので、手数料だけを考えるとSquareは選択肢から外れてしまいますね。
影響は小さいかもしれませんが、他社より出費が増えてしまうのは確実なので、デメリットとして捉えるべき点だと思います。
電子マネーへの対応と手数料
各社の手数料は以下のようになります。
一覧にしてみると、分かりやすいですが対応数は楽天ペイが、手数料はSTORES決済が群を抜いていることが分かります。
「Square」は、2020年8月にようやく電子マネーへの対応を開始しました。
楽天ペイ | Airペイ | STORES決済 | おてがるPay | Square | Times Pay | |
---|---|---|---|---|---|---|
nanaco | 3.24% | × | × | × | × | 3.24% |
楽天Edy | 3.24% | × | × | × | × | × |
WAON | 3.24% | × | × | × | × | 3.24% |
Suica | 3.24% | 3.24% | 1.98% | 3.24% | 3.25% | 3.24% |
PASMO | 3.24% | 3.24% | 1.98% | 3.24% | 3.25% | 3.24% |
Kitaca | 3.24% | 3.24% | 1.98% | 3.24% | 3.25% | 3.24% |
TOICA | 3.24% | 3.24% | 1.98% | 3.24% | 3.25% | 3.24% |
manaca | 3.24% | 3.24% | 1.98% | 3.24% | 3.25% | 3.24% |
ICOCA | 3.24% | 3.24% | 1.98% | 3.24% | 3.25% | 3.24% |
SUGOCA | 3.24% | 3.24% | 1.98% | 3.24% | 3.25% | 3.24% |
nimoca | 3.24% | 3.24% | 1.98% | 3.24% | 3.25% | 3.24% |
はやかけん | 3.24% | 3.24% | 1.98% | 3.24% | 3.25% | 3.24% |
iD | 3.24% | 3.74% | × | 3.74% | 3.75% | × |
QUICPay+ | 3.24% | 3.74% | × | 3.74% | 3.25% | × |
Apple Pay | 3.24% | 3.74% | × | 3.74% | × | × |
QRコード決済の対応と手数料
2022年時点での、QRコード決済のシェア率は下記のようになります。
WBS※1 | MMD研究所※2 | 加盟店数 | |
---|---|---|---|
PayPay | 56.4% | 45.4% | 374万ヵ所 |
d払い | 15.7% | 16.7% | 266万ヵ所 |
楽天ペイ | 12.6% | 16.7% | 500万ヵ所 |
au PAY | 7.0% | 13.5% | 528万ヵ所 |
メルペイ | 1.2% | 3.00% | 170万ヵ所 |
LINE Pay | 1.2% | 2.50% | 309万ヵ所 |
FamiPay | 1.0% | 1.50% | 30万ヵ所※3 |
ゆうちょPay | ー | 0.40% | 30万ヵ所※3 |
※1は、2022年12月24日にWBSが公表したデータです。 ※2は、2022年1月にMMD研究所が18~69歳の男女45,000人を対象に行った調査結果です。 ※3は、Smart Codeに加盟している店舗数です。 |
対応数だけ見ると、Airペイ一択になりますね。
楽天ペイ | STORES決済 | Airペイ | Square | |
---|---|---|---|---|
楽天ペイ | 3.24% | × | × | × |
au PAY | 3.24% | × | 3.24% | × |
d払い | × | × | 3.24% | × |
PayPay | × | × | 3.24% | 3.25% |
LINE Pay | × | × | 3.24% | × |
ゆうちょPay | × | × | × | × |
ANA Pay | × | × | × | × |
EPOS Pay | × | × | × | × |
銀行Pay | × | × | × | × |
WeChat Pay | × | 3.24% | 3.24% | × |
ALIPAY | × | × | 3.24% | × |
atone | × | × | × | × |
K PLUS | × | × | × | × |
ギフティプレモPlus | × | × | × | × |
pring | × | × | × | × |
Jcoin | × | × | 1.08% | × |
Union Pay | × | × | 3.24% | × |
JAL Pay | × | × | × | × |
※おてがるPay・Times PayはQRコード決済に対応していません。 |
売上金の振込
クレジットカード決済を導入するにあたり、重要なのは売上金の入金サイクルです。入金サイクルが遅ければ資金ショートの可能性もある為、できるだけ早い会社を選びたいところ。
下記表は売上金の最短入金日です。
決済会社 | 最短入金日 |
---|---|
楽天ペイ | 翌日 |
Square | 翌営業日 |
STORES決済 | 2営業日以内 |
Airペイ | 5日程度 |
Times Pay | 2週間程度 |
おてがるPay | 5日程度 |
売上金の振込が一番速いのは楽天ペイです。
土日祝日関係なく自動で翌日に入金され尚且つ、振込手数料が0円というのは他を圧倒しています。
ただし、翌日振込が適用されるのは口座を楽天銀行に設定した場合のみ。それ以外の金融機関だと翌営業日で手数料が210円。更に入金依頼を手動で行う必要があります。
6社のお薦めランキング
1位:Airペイ
メリット | デメリット |
---|---|
・導入コスト実質無料 ・月額費用0円 ・6つの国際ブランド対応 ・交通系電子マネー対応 ・手数料が業界最安 ・売上金の振込回数が多く手数料も0円 | ・iPadとiPhoneのみ対応 |
ブランド数は楽天ペイには敵いませんが、電子マネー決済に対応していますし、いち早くPayPayやLINEPayへの対応を開始しており、QRコード決済の対応数は業界随一です。
2021年時点では、両者の利用率は0.2%しか差が無く、破竹の勢いでQRコード決済が電子マネーを追い上げてきています。
また振込に関しては、金融機関によって手数料が変動する事業社もある中、Airペイは制約なく手数料が無料になるため、楽天ペイと違い口座の新規開設が不要になります。
何より、カードリーダー端末が無料で初期費用が一切かからない点を鑑みると、業界の中で一番におすすめできるサービスと言えます。
Airペイ公式HP カード・電マネ・QR・ポイントも使えるお店の決済サービス
2位:楽天ペイ
メリット | デメリット |
---|---|
・月額費用0円 ・6つの国際ブランド対応 ・主要電子マネー対応 ・手数料が業界最安 ・売上金翌日振込で手数料0円 ・POSレジとの連携可 ・楽天ペイ(アプリ)でお客様にも大きなメリット | ・カードリーダー代金が税込19,800円かかる ・分割払いやリボ払いの対応不可 |
振込入金は最短翌日で手数料も業界最安。対応する電子マネーの対応数も業界でトップ。更には楽天ペイ(アプリ)で店舗の宣伝も兼ねつつお客様も楽天ポイントが貯まる・使えるという大きなメリットがあります。
おまけに、2023年4月にクレジットカードと電子マネーの手数料を大幅に下げ、業界で確実に最安となりました。
ただ、QRコード決済の対応数では、1位のAirペイと比較して見劣りしてしまいますが、コスト・入金サイクル・対応ブランド共に最高水準です。
楽天ペイ公式HP スマホではじめるキャッシュレス決済 加盟店募集中!
3位:STORES決済(旧:Coiney)
メリット | デメリット |
---|---|
・19,800円の端末を無料でゲット ・分割・リボ払いに対応 ・電子マネーの手数料が業界最安 ・WeChatPayに対応 ・Coineyペイジでネット・電話もカード決済可 | ・スマホ、タブレットやプリンターの用意が必要 ・売上金入金が遅い ・業種により扱える国際ブランドが違う |
高額な決済が頻繁にある事業社であればSTORES決済をおすすめします。
理由は2回払いとリボ払いに対応しているからです。他社はお客様が分割・リボ払いを希望されても支払い方法の変更(後リボ等)を推奨するしかありませんし今後の対応予定も無いとの事。お客様にとって、支払い方法の選択肢が多い事は大きな魅力です。
確かに、売上金の入金が遅い点や、業種によってJCBブランドがセゾンカードのみとなるのはデメリットにはなりますが、交通系電子マネーの手数料は圧倒的に安いので、駅チカの店等は真っ先に導入を検討するべきサービスだと私は思います。
STORES決済公式HP STORES 決済 (旧:Coiney) |公式サイトはこちら
4位:Square(スクエア)
メリット | デメリット |
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・審査が早い ・売上金額の振込が早い ・オリジナルのギフト券で自社ブランドの確立 ・継続的役務の提供に該当するサービスの決済が可能 | ・カードリーダー端末が7,980円 ・手数料が他社より高い ・QRコード決済不可 ・スマホ・タブレットやプリンターの用意が必要 |
「Square」は、クレジットカードや電子マネーの手数料が高くなるので、経費がかかさみますし、年々利用が増え続けているQRコード決済にも非対応というデメリットがあります。
ただ、圧倒的に審査時間が短いことから、他社で審査通過できなかった店舗でも利用できる可能性があります。また、端末代金が7,980円かかりますが、30日間の無料返品保証に対応している為、申し込みがしやすくなるメリットがあります。
更に、継続的役務の提供に該当するサービスもできる唯一の決済サービスなので、該当する店舗は、Square一択になります。
Square公式HP 最短当日でカード決済導入!
5位:おてがるPay
メリット | デメリット |
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・プリンタ内蔵でレシート出力可 ・端末が無料でスマホも不要 ・分割・リボ・ボーナス一括払いにも対応 ・電子マネーの対応種類が多く手数料も安い ・Smart CodeでQRコード決済にも対応 ・売上金入金が月2回・月6回払いを選択可 ・JCBプレモにも対応 | ・審査の期間が長い ・American Expressの手数料が高い ・POSレジ連携が有料の可能性有 |
おてがるPayは、電子マネーへの対応種類や分割・リボ払いに対応している点はメリットではありますが、反面、アメックスの手数料が高くQRコード決済にも非対応。極めつけは、初期費用として38,280円の代金が発生するという大きなデメリットがあります。
ただ、「JCB・三菱UFJニコス・UCカード」が共同出資している事業という圧倒的な知名度で安心感はあるので、利用を検討される方もいると思います。
そんな方は、おてがるPayではなく、プリンタが内蔵されたカードリーター端末を無料で提供しており、尚且つ、QRコード決済にも対応済み。更に、nanaco・楽天Edy・WAONと主要電子マネーにも対応したVEGA3000を検討してみてはいかがでしょうか?
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6位:Times Pay(タイムズペイ)
メリット | デメリット |
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・Wi-Fi環境が不要 ・導入研修を無料で実施 ・nanaco・WAON等の主要電子マネーに対応 ・24回までの分割払い・リボ払いに対応 | ・初期費用が税込38,000円 ・American Expressの手数料が高い ・売上金の入金が遅い ・審査が遅い |
Times Payは、電子マネーシェア1位と言われるWAONや分割・リボ払いに対応していますし、ネット環境の構築も不要。更に導入研修も無料で実施してもらえるという、メリットが豊富な点は魅力的です。
しかしながら、アメックスの手数料が高く売上金入金が遅いですし、何よりキャンペーン終了により、初期費用が税込38,000円という他社に比べて大きなデメリットがある為、Times Payを選ぶ余地はないように私は思います。
Times Pay公式HP Times Pay
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